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 STATEMENT

個展 “nonsense” より

私は自分たちの身の回りにある、見慣れたものが本当は何でできていて、どういう物なのか、ということをよく考えます。化学的な材料としてではなくて、どんな性質を持つ素材なのかという点です。

それは、今も目の前にある物事に対して、私たちは表層的な部分のみを知っているだけで、その物事たちが持っている「見えにくい特性」には、ひどく無関心で鈍感であるのではないかと感じることがあるからです。

私の扱う焼き物は「焼く」という過程を経て、粘土から陶という素材に変化しますが、私はこの「焼く」というプロセスを全く別の、高温で加熱する必要のないオブジェクト※に施しています。

代表作の『nonsense』シリーズは工業製品を砕いて、またその工業製品の形になるように窯で焼き固めた作品です。

 

明らかに不要なプロセスをそのオブジェクトに加えることで、本来そこにあるはずの「見えにくい特性」を露出させ、「焼く」という人類が古代から繰り返してきたプロセスから、オブジェクトの成り立ちやその背景にまつわるリアリティを表現することを試みます。

                                    2019.4.29 森川裕也

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